
兵庫県には137の酒造会社があり、その中でも西宮市と神戸市にまたがる灘五郷は、日本一の酒米(山田錦)、六甲山から生まれて宮水、熟練した丹波杜氏の技に恵まれ「灘の生一本」と呼ばれています。2003年度、灘五郷の出荷量は全国日本酒生産量の26.4%を占め日本一の日本酒生産地です。
灘の酒造りの歴史は古く、室町地代にはすでに始まっていたとされています。酒造りに適した上質の米(山田錦)と上質のミネラル水(宮水)が取れ、製品の水上輸送に便利な港があったことから、日本酒の名産地として栄えました。1834年頃に西宮神社東南の一角で発見された宮水は、六甲山からの伏流水が砂層でろ過された水で、酒にとって有害な鉄分は少なく、一方リンやカルシウムなどを多く含んでいる硬水で、この水が芳醇な上質の酒を造る財産になっています。
江戸時代に灘五郷と言えば、下灘五郷(現在の神戸市兵庫区、中央区)、西郷(神戸市灘区)、御影郷(神戸市東灘区)、魚崎郷(神戸市東灘区の一部と芦屋市)、今津郷(西宮市)を指しましたが、その後、下灘郷が抜けて西宮郷が加わり、現在の灘五郷(西郷、御影郷、魚崎郷、今津郷、西宮郷)になりました。
宮水としても使われ、ミネラルウォーターとしても人気の六甲の水は、昔から赤道を越えても腐らない水として「神戸ウォーター」の名で世界中の船乗りに知られてきました。また、日本国内での家庭用ミネラルウォーターの先駆け的存在であり、1980年当時ヨーロッパ圏ではすでに浸透していた“水は買う”という文化を日本に根付かせたのも「六甲のおいしい水」の開発があったからこそなのです。